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八王子市の築34年アパート大規模修繕|見積りの判断基準と調査から考える改修計画

八王子市で、築34年の3階建てアパートの大規模修繕工事を行った事例をご紹介します。

今回のご相談は、屋根、外壁、鉄骨階段、バルコニー防水、シーリング、集合ポスト、宅配ボックス、防犯カメラなど、建物全体に関わる内容でした。

オーナー様はすでに複数社から見積りを取られていましたが、金額や提案内容に大きな差があり、「何を基準に判断すればよいのか分からない」というお悩みをお持ちでした。

アパートの大規模修繕では、単に「外壁を塗る」「屋根を塗る」だけではなく、建物を今後どのくらい維持したいのか、どの部分は今回直すべきか、どの部分は経過観察でよいのかを整理することが大切です。

この記事では、今回のアパート修繕を例に、現地調査で確認した劣化症状、泉建装がどのように改修方針を整理したか、施工中に追加で確認した内容、同じような建物で注意したい点をまとめます。

施工期間は、2024年6月20日から2024年8月10日までです。


お問合せ


オーナー様からは、ホームページのお問い合わせフォームを通じてご相談をいただきました。

対象は八王子市内にある築34年、3階建て、6室のアパートです。ご相談内容は、屋根、外壁、鉄骨階段の塗装と修繕を中心に、集合ポストの交換、宅配ボックスの設置、防犯カメラの設置も検討したいというものでした。

建物はご親族から引き継がれたもので、オーナー様ご自身での大規模なお手入れは今回が初めての状況でした。すでに他社の見積りも複数出ていましたが、金額差が大きく、何が適切なのか判断しにくい状態だったことが分かります。

そこで泉建装では、まず「今回の修繕で何を目指すのか」を整理することから始めました。

お打ち合わせでは、今後おおむね15年程度は建物を維持したいという方向性を共有しました。そのため、すべてを一律に新しくするのではなく、今回優先して手を入れる部分、塗装で対応できる部分、交換や防水まで検討すべき部分を分けて考える方針としました。

 

<主なご希望施工箇所>
*外壁塗装
*屋根塗装
*鉄骨階段塗装
*階段床長尺、又は防塵塗装
*ベランダ防水
*シーリング
*修繕工事
等となり、他にもポストの交換、宅配ボックスの設置、防犯カメラの設置もご検討中とのことでした。

初めてのお手入れという事もあり、すでに施工店4社でご比較中でいらっしゃいましたが、各社の見積り額に大きな開きがあることから、今回インターネットで検索した弊社へお問合せを下さいました。


現地調査とご提案


まずは現地にてオーナー様お立会いのもと現地調査を実施。
現地調査では、外壁、屋根、鉄骨階段、バルコニー、シーリング、ハッチ類など、建物全体の状態を確認しました。

外壁では、チョーキング、ひび割れ、欠損、含水反応が確認されました。チョーキングとは、外壁を触ると白い粉のようなものが付く状態です。塗膜の劣化が進み、雨水をはじく力が落ちているサインの一つです。


▲アパート全景:3階建てアパートの外観
屋根、外壁、階段、バルコニーを含めて全体の修繕計画を検討しました。


▲外壁チョーキング:
雨水を弾く役割を果たす樹脂が太陽の紫外線で破壊され、塗膜が劣化し表面に粉状の劣化症状が出ている状態。
雨水がそのまま壁材に染み込む状態となっています。

外壁の一部では、含水計による測定で他の部位より高い数値が確認され、サーモグラフィーでも水分の滞留が疑われる反応がありました。他の箇所では1%未満だったのに対し、ひび割れの多い箇所では4%の数値を確認しています。

ただし、含水計やサーモグラフィーの反応だけで、内部の状態や原因を断定することはできません。あくまで「水分が滞留している可能性がある箇所」として、塗装だけで期待する耐候年数を満たせないリスクをご説明しました。


▲含水計調査:
外壁材に含まれる水分率を測定。基準値は3%ですが、ひび割れも多いこちらの箇所は、場所によっては4%の数値を計測。その為この面に関しての塗装は期待耐候年数に満たない期間での塗膜剥離やひび割れの可能性もお伝えさせていただきました。(他の箇所では1%未満の基準値でした)


▲サーモグラフィー調査:
上記含水計4%を計測の箇所については、温度分布から水分の滞留の可能性が認められました。対応としては、根治するには外壁の張替え等の選択肢もお伝えし、ご希望の塗装補修での経過観察をご提案させて頂きました。


▲外壁目地シーリング:
シーリングのひび割れが見られるため、塗装前の防水処理として改修を検討しました。


▲外壁ひび割れ:
下地調整剤を擦り込む方法もありますが、今回は、ひび割れの内部に水分があっても硬化するエポキシ樹脂を直接圧入する工法をご提案させて頂きました。

 

屋根は折半屋根で、ボルト部にサビが見られました。一方で、屋根材そのものに大きな腐食は見られなかったため、塗装改修で対応可能と判断しました。

▲折半屋根:
ボルトまわりにサビが見られるため、ケレン、錆止め、塗装、ボルトキャップの施工を検討しました。


▲屋上ハッチ:
一見そんなに傷んでないように見えますが、内側は塗膜が剥がれ錆も散見されます。ヒンジも腐食が確認されることから、今回のタイミングでの工事を推奨させて頂きました。

また、足場を設置した後にバルコニーの避難ハッチの確認を行いました。計4箇所の避難ハッチの内枠に腐食などがあり、下蓋が開かない不具合も確認されたため、交換対象としてご提案させて頂きました。


▲避難ハッチ:
避難ハッチも経年で劣化するものですので、足場を設置する際は必ず確認を行っています。


▲バルコニー防水:
既存は押さえコンクリート防水ですが、すでに防水能力が機能していない為、ウレタン防水での改修を推奨させて頂きました。

 

鉄骨階段では、床面の塗膜剥離や踏面と蹴込みの間の隙間、階段裏のサビが確認されました。階段床から雨水がまわると、裏側の鉄部にサビが進みやすくなります。
今回は応急的な処置だけでなく、原因に対して対応しやすい長尺シートの施工をご提案しました。

▲階段裏:塗膜の剥離や隙間があり、雨水が階下へまわる可能性がある状態です。


▲階段床:
防塵塗装施されていますが、長年の歩行による摩耗と劣化による塗膜の剥離が確認されました。防滑性も高まることから長尺シートをご提案させていただきました。

 

<原因についての仮説と判断>

今回のアパートでは、劣化原因を一つに決めつけるのではなく、部位ごとに状態を確認しながら判断しました。
外壁については、チョーキング、ひび割れ、シーリング劣化、含水計の数値、サーモグラフィーの反応を確認しました。これらの状況から、外壁の一部では水分が滞留しやすい状態になっている可能性が考えられました。
ただし、調査時点で外壁内部の状態まで確定できたわけではありません。根本的に確認するには、外壁材の撤去や張替えを伴う調査が必要になる場合があります。
そのため、根治を目指すなら外壁の張替えなども選択肢になることをお伝えしたうえで、今回はご希望や今後の維持計画に合わせ、塗装補修で経過を見ていく方針をご提案しました。

階段については、表面だけを塗っても、雨水が入り続ける状態であれば、サビの進行を抑えにくくなります。
そのため、床面の長尺シート施工と鉄部のケレン・錆止め・上塗りを組み合わせて対応しました。

屋根については、ボルト部のサビは確認されたものの、屋根材そのものの著しい腐食は見られませんでした。そのため、塗装とボルトキャップの施工で対応可能と判断しました。

 


ご採用の決め手


今回、弊社をお選び下さった決め手をお伺いしたところ、提案金額は他の施工業者様の中でも最も高額だったそうです。(高額理由:他社では見込んでいない工事項目が多かった)

その様な中で弊社をお選び下さったのは、「診断書を用いた詳しい説明や提案の内容がとても細かであったこと、含水計とサーモでの調査結果等もいい判断基準になり、予算と施工内容を照らし合わせた上で納得のいく内容と信頼感を持てたこと」がご決断につながったとお話下さいました。

<ご提案内容と採用理由>

今回のご提案では、建物を今後どのくらい維持するかという考え方をもとに、工事範囲と優先順位を整理しました。
主な提案内容は、外壁塗装、屋根塗装、シーリング打替え、鉄骨階段塗装、階段床長尺シート、バルコニー防水、屋上ハッチ交換、バルコニーの避難ハッチは確認後採否を決める、集合ポスト交換、宅配ボックス設置、防犯カメラ設置などです。

外壁では、塗装だけで済ませる部分と、欠損やひび割れを補修してから塗装する部分を分けています。ひび割れについては、箇所数が多いことから、下地調整材を表面に擦り込むだけでなく、ハンドスムーサーを使ってひび割れ部に直接材料を圧入する工法をご提案しました。

階段床については、防塵塗装で応急的に対応する方法と、長尺シートで雨水のまわり込みを抑えやすくする方法が考えられました。今回は、階段裏のサビとの関係も踏まえ、長尺シートを採用しました。

バルコニーは、既存防水の状態から、ウレタン防水での改修をご提案しました。ウレタン防水は、液状の防水材を塗り重ねて膜を作る工法で、複雑な形状のバルコニーにも対応しやすい特徴があります。

また、この建物は道路沿いで足場の一部が歩道側に関係するため、道路使用許可、道路占用許可、防護管の設置、交通誘導員の手配が必要でした。

八王子警察署への道路使用申請、東京都建設局関連の道路占用手続、防護管の予約と設置、工事完了届用の写真取得まで、工事前後の手続も含めて進めました。

大規模修繕では、実際の塗装や防水だけでなく、こうした事前手続や安全対策が工事全体の進行に大きく関わります。


主な施工内容


【欠損箇所:下地補修~塗装工事】

外壁の欠損部では、傷んだ部分を撤去し、補修材で形を整えたうえで塗装しました。仕上げると見えなくなる部分ですが、塗装前の補修は外壁の見た目と耐久性に関わる大切な工程です。
工事内容:下地修繕(サンモルC等)+塗装3回塗り 仕上げ剤:アレスダイナミックトップ(関西ペイント)


▲壁欠損部:施工前


▲欠損部撤去後


▲下地補修:専用の補修用プレミックスモルタルで補修(施工後)


▲下地調整後


▲塗装施工後(塗装3回塗り)

 

【鉄部塗装:階段裏】

鉄部では、ケレン作業、錆止め、上塗りを行いました。サビが残ったまま塗装すると、塗膜の下で劣化が進む可能性があります。今回も、階段裏や付帯部のケレン、錆止め、上塗りを工程として組み込んでいます。
工事内容:ケレン作業+塗装3回塗り


▲ケレン作業:サビや劣化した旧塗膜を入念に除去します。


▲下塗り、サビ止め施工後


▲施工後

 

【屋根塗装工事】

屋根では、高圧洗浄、ケレン、下塗り、中塗り、上塗り、ボルトキャップの施工を行いました。仕上げ材には、関西ペイントのアレスクール2液Siを使用しています。
工事内容:3回塗り  仕上げ材:アレスクール2液Si(関西ペイント)


▲高圧水洗浄


▲折半屋根の為、高圧水洗浄で落ちない汚れ等を手作業にて除去


▲下塗り施工中


▲劣化したボルトキャップは、新規にシーリング付の物を取付け


▲施工後

 

【外壁シーリング工事】

工事内容:塗装前先打ち


▲シーリング充填作業中


▲シーリング施工後

 


その他 施行前⇒施工後


 


▲外観


▲ベランダ:避難ハッチ交換工事

 


▲屋上ハッチ交換工事


▲階段長尺工事

<一般的な注意点>

築30年を超えるアパートでは、外壁、屋根、鉄骨階段、防水、シーリング、共用部設備が同時期に劣化していることがあります。

このとき、見積りを比較するうえで大切なのは、金額だけではありません。どの部位を調査しているか、劣化の原因をどう考えているか、今回直す部分と経過観察にする部分を分けているかが重要です。
たとえば、外壁にチョーキングやひび割れがある場合、塗装で対応できることもあります。一方で、含水反応がある場合や下地の劣化が疑われる場合は、塗装だけでは期待した年数まで持たない可能性もあります。
また、アパートやマンションの修繕では、足場、道路使用、道路占用、防護管、居住者への案内、駐車場移動、掲示物、誘導員など、工事以外の段取りも重要です。これらが不足すると、工事の安全性や居住者の生活に影響が出ることがあります。

同じような大規模修繕を検討する場合は、次の点を確認すると判断しやすくなります。

・建物を今後何年程度維持したいのか
・塗装で対応できる部分と交換が必要な部分が分けられているか
・外壁や階段の下地状態まで確認しているか
・防水、シーリング、鉄部、設備を別々ではなく建物全体で見ているか
・足場や道路、居住者対応まで工程に含まれているか
・追加工事の可能性や判断基準が事前に説明されているか


よくある質問


Q1.アパートの外壁劣化は塗装だけで直せますか?

塗装で対応できるケースもありますが、すべての劣化が塗装だけで解決するわけではありません。
今回の事例では、チョーキングやひび割れ、シーリング劣化が確認され、さらに一部では含水計とサーモグラフィーの反応もありました。塗装で進める方針となりましたが、含水が疑われる部分については、塗膜剥離やひび割れのリスクも説明しています。
外壁の状態によっては、部分補修、張替え、防水処理などを含めて検討する必要があります。

Q2.複数社の見積り金額が大きく違う場合、何を見ればよいですか?

金額だけでなく、工事範囲、下地補修の有無、シーリングの扱い、防水や鉄部の施工内容、足場や道路関係の費用、居住者対応が含まれているかを確認することが大切です。
今回のオーナー様も、複数社の見積り差に悩まれていました。泉建装では、今後15年程度維持したいという方針を整理したうえで、診断書とあわせて工事内容をご説明しました。

Q3.工事中に追加工事が発生することはありますか?

あります。特に築年数が経った建物では、足場をかけて近くで確認したり、専門業者が点検したりして初めて分かる不具合があります。
今回も、避難ハッチ4箇所の交換やバルコニー手摺下端のコーナー部材交換を追加で検討しました。大切なのは、追加が必要になった理由を確認し、オーナー様へ説明したうえで進めることです。

Q4.アパート修繕では、道路使用や道路占用が必要になることがありますか?

建物の立地や足場の設置範囲によっては必要になります。
今回の工事では、道路使用許可、道路占用許可、防護管の設置、誘導員の手配、工事完了届用の写真取得まで行いました。道路沿いの建物や歩道に近い建物では、こうした手続や安全対策も工事計画に含めて考える必要があります。

Q5.居住者がいるアパートでも大規模修繕はできますか?

可能ですが、居住者への案内や動線の確保が重要です。
今回の工事では、駐車場移動の調整、掲示板の設置、ポスト交換前の案内書面、触れないよう注意する表示、階段や廊下の床養生などを行いました。居住中の建物では、施工内容だけでなく、生活への影響を少なくする管理が欠かせません。


まとめ


今回の八王子市のアパート大規模修繕では、外壁や屋根を塗装するだけでなく、含水反応の確認、ひび割れ補修、シーリング改修、鉄骨階段のサビ対策、階段床長尺シート、バルコニー防水、避難ハッチ交換、集合ポスト・宅配ボックス設置まで、建物全体を見ながら工事を進めました。

大規模修繕で大切なのは、まず「何を目的に修繕するのか」を決めることです。今後どのくらい建物を維持したいのか、どこまで費用をかけるのか、どの部分を優先すべきかによって、適切な工事内容は変わります。

外壁の劣化、階段のサビ、バルコニー防水の不安、見積り内容の差でお悩みの場合は、塗装だけで判断せず、建物全体の状態を確認したうえで改修計画を立てることをおすすめします。

泉建装では、八王子市を中心に、アパート・マンション・戸建て・法人建物の改修工事に対応しています。建物の状態や今後の維持計画に合わせて、必要な工事と優先順位を一緒に整理いたします。

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